雑記

*検索避け済

青のミブロ
3月13日は『新選組の日』だそうです。

1863年(文久3年)2月27日に浪士組が結成され、同年3月13日に会津藩お預りとなって正式に新選組となった。どちらも新選組の日といわれてるけれど、東京都日野市観光協会が『新選組の日』としてるのは後者、3月13日のほう。

――ということですが、昨年秋まで、そのあたりのことに興味を抱いたことがありませんでした。
歴史ものに興味を抱くタイプでないこともあって、大河ドラマはひとつも見たことがないし、新選組を題材とした本も読んでこなかった。近藤勇、沖田総司、土方歳三の名前を聞いたことがある程度。
2024年の劇場版名探偵コナンで土方歳三の名前が出てきたのが唯一の接点。学生時代も歴史関係の成績はよくなかったです。というか、昔は勉強をする・調べものをするという行為そのものが(面倒くさくて)とにかく苦手でした。今は気になったらちゃんと調べるようになったし、知見を得る楽しさも知ったけど、学生時代なにもしなかった反動かもしれない。

閑話休題。

最近は、新選組を題材にした漫画にめっっちゃはまってます。

2023年9月にアニメ化の告知がなされ、2024年9月に第1話放送日は2024年10月19日からとの告知がなされたにもかかわらず、当時のわたしはまだこの作品を知りませんでした。しかも、毎週見てるアニメ名探偵コナンの30分前から同じ局での放送なのに。
正確には、名探偵コナンが始まる数分前からテレビに意識は向けてるので、次回予告くらいは見てたはずなんです。でも、人間って興味を抱かないと本当に記憶しないんですよね。

わたしが意識するきっかけになったのは、𝕏の相互さんが別コンテンツで推してるキャラクターの担当声優さんが、青のミブロのキャラクターで主要キャラクターの声を担当なさってるらしく、青のミブロに言及されてたことです。
へぇ、このアニメでもお仕事されてるんだ、他にはどんな方々が関わってるのかな――なんとなく公式サイトを見て、次の瞬間、ひどく後悔しました。
  • ちりぬ にお:梅田修一朗
  • 斎藤 はじめ:小林千晃
  • 田中 太郎: 堀江瞬
  • 土方 歳三:阿座上洋平
  • 沖田 総司:小野賢章
  • 芹沢 鴨:竹内良太
  • 近藤 勇:杉田智和
知ってる名前しかない! むしろ、知らない名前がない!
なんでもっと早く出会わなかったんだろう。己のアンテナの精度の低さを呪いました。声優さんのSNSを(たとえ特定の声優さんを応援するようになったとしても、その方の出演作すべてを追うのは現実的ではないので)あまり見ないようにしてたのもあって、めっちゃ後悔しました。
ちなみに、こちらは新選組のなかでも特に目立つ……というかキャスト一覧で最初のほうに名前が出るひとたちですが、それ以外でも――
――知ってる名前だらけなんですよね。ツダケンいるんだ……。
そうして、わたしは遅ればせながら、第4話から、まずはアニメを見ることにしました。

これがまたおもしろい。実力のある声優さんたちというのもあるけど、まず、キャラクターに魅力がある。
ちりぬにおという架空のキャラクターが主人公なわけですが、純で子どもな彼が、大人たちとともに行動するうちに、自分の理想はきれいごとだけでは辿り着けないことを痛感する。
見れていなかった第1話〜第3話を知りたくなり、各種配信サイトで見れるにも関わらず、わたしはなぜか原作を読むことにしました。たぶんこれは原作を見たほうがいいやつだと思った。

におの実の親は彼が生まれて間もない頃に殺害され、孤児としてお寺に預けられてました。その後、団子屋の女性店主に引き取られ、そのひとを「婆ちゃん」と呼んで、同じく引き取られた妹(血の繋がりはなく、彼女も孤児)とともに、団子屋を手伝いながら日々の生活を営んでます。
弱い者が我慢を強いられたり虐げられたりする世界、夜に安心して眠れない治安……それらを歯がゆく思っている。
いつものように団子屋の手伝いをしてるときにたまたまやってきた浪士組と出会い、彼らはたまたま目についたにおの妹を囮に、町を騒がせていた人攫いを捕まえます。
もちろん浪士組の彼らは「囮にさせてくれ」と言ったわけではないけれど、におは、におだけはすぐに気付いた。それは彼が持つ観察眼の鋭さゆえのもの。そして浪士組の彼らも、団子屋で空腹を満たしてるときから、におの観察力には気付いていた。
一歩間違えれば妹は殺されていた。いつだって、力のない者が利用される、こんな世界がいやなのに、なにが一番許せないって、歯がゆさばかりが勝ってなにもできない無力な自分だ。――このときのにおの涙が、浪士組に入るきっかけとなります。

新選組が題材の漫画なので、史実を基礎としつつ、史実ではふんわりしてるところ・わからないところを"フィクションの漫画"として描く、この作品はその塩梅が絶妙なんです。
あくまでも漫画なので、登場人物が実際にはどのように歩んだのかとかが気になるたび、史実がどうだったかをさらっと調べはするけど、だからってそれをこの作品に当てはめてあれこれ考えるのは違うかなと思ってます。

この作品で存在感がすごいのが、のちに暗殺されることとなる新選組の芹沢鴨。
彼については、暗殺されるのが惜しいと思ってしまうほどの描かれ方でした。
単行本を買うまではマガポケでちまちま読んでいたので各話に寄せられてる読者コメントにも目を通してたんですが(週刊少年マガジン最新話まで追いついた今も毎話のコメントは見てます)、芹沢鴨の暗殺が近付くにつれ、彼を惜しむ言葉が目立つようになりました。他の新選組作品における芹沢鴨はこうではなかった、この芹沢鴨には死なないでほしい……と。とにかく、壮絶だった。

"芹沢鴨が気まぐれで拾った物乞いの子"という架空のキャラクターとして、田中太郎という、におと同じ年の子が出てきます。
拾われたからって手厚く育ててもらったわけではなく、常に雑用を言いつけられ、振り回され、およそかわいがってはもらえてない。
でも、太郎は、陰で芹沢鴨への文句を言いつつも、決して、芹沢鴨を裏切ろうとか逃げようとはしないんです。恩があるからではなく、尊敬しているから。
どうして尊敬してるのか。それは、他のひとたちから見た芹沢鴨と、太郎から見た芹沢鴨は必ずしもイコールではなく、太郎だけが知る芹沢鴨の姿があり、彼はそこに憧れ、惚れ込んだんです。
これは『青のミブロ』という、新選組を題材にはしてるけどあくまでもフィクションの漫画だから、そういう子が出てくるんです。

もうひとり、にお・太郎と同じ年の子として、斎藤はじめという子が登場します。斎藤一ではなく、斎藤はじめ。
この子については、わたしはアニメ第7話で完全にやられてしまいました。原作での追いかけがまだここまで追いついていなかったので、先にアニメで知りました。
公式が放送後にポストした振り返り動画です。
原作だともう少しさらっと描かれてるところなんですけど、アニメでの描かれ方が格好よくて格好よくて……びっくりした。
あと、彼がなぜ"斎藤一"ではなく"斎藤はじめ"なのか。なぜ、強くなることにこだわっているのか。それはアニメだと第19話で描かれてます。
もうね、こういうのに弱いんです。

アニメは第2クールを2025年3月末まで放送して、いったん終了します。これは確実です。なぜなら、次の番組(YAIBA)が決まってるから。
この第2クールで描かれるのは、血の立志団編まで。原作でいうと9巻までです。
わたしがさきほど散々語った芹沢暗殺編はその次でして……いつか第3クールをやってほしいです。

なお、原作は第2部新選組編が始まっており、2025年3月現在、池田屋事件のあたりをやっています。
「池田屋事件のあたりをやっています」ってさらっと書いたけど、『青のミブロ』にはまるまで、池田屋事件のことも名前しか知らなかった人間ですからね。
週刊少年マガジンを毎週追うのはお金もかかるし大変だと思うんですけど、いきなり単行本を買えとは言いません。
アニメは各種配信もあるので、試しにアニメを見てみて、興味が湧いたらまずはマガポケで原作も読んでほしいです。