彼にはきっと知られてる
別に、エゴサーチが趣味というわけではない。わざわざ探さなくても彼がラビッターでなにか投稿するたび、返信欄にそういう言葉が並ぶから、視界に入るだけ。
環が十八歳になり、夜間の番組出演が可能になった途端、こうだ。少し前に話題になった『抱かれたい男ランキング』では、一位に四葉環の名前がある。それも、ラビッターの反応の多さに繋がっているのだろう。
今、見ている投稿は、環のアカウントではなく、環が表紙を飾ることを知らせる雑誌の公式アカウントの、数日前の投稿だ。表紙初披露ということもあって、投稿から日にちが経過しているにもかかわらず、壮五がこうして眺めているあいだにも反応数がどんどん増えていく。このアカウントは全ての投稿において返信欄を閉じる方針でよかった。でも、投稿の引用先を見れば、返信欄にしたためたかったであろう言葉が並んでいるはずだ。見ようとしなければ視界に入らないぶん、返信欄以上に本音の出た言葉たちが。
〝環って彼女いるのかな〟……いないよ。
〝環ってキスシーンまだだったよね、今からでも女優になれないかな〟……なに言ってるんだ? 俳優の仕事はそんな簡単じゃないのに。
〝今度のライブ、アリーナ前方だしこのうちわ持ってく!〟……現地での特定に繋がるような写真の投稿は控えたほうがいいと思うよ。
〝ランキング一位になるくらい色っぽくなったってことは、大人になっちゃったのかな〟……まぁ、そうだね。――心のなかで、ひどく冷めた目でそれらの言葉にひとつひとつ言い返す。
『抱かれたい男ランキング』で一位になってから初めて飾る表紙。雑誌の傾向もあり、環は上裸を惜しげもなく見せ、ジーンズのウエスト部分に親指を引っ掛け、気怠そうな顔でこちらを見ている。わずかに見える下着のウエストゴムは黒色だ。
なんだかおかしくなって、壮五はスマートフォンを伏せ、ベッドへと向かう。
今日のライブも――
「もう寝る?」
先にベッドで待ってくれていた環の隣に潜り込み、体を擦り寄せる。
「まさか。今日の環くん、すごく格好よかったし、ライブのどきどきもまだ残ってて寝付けないし」
初めからそのつもりで、お風呂もあとに入らせてもらったんだから。環に覆い被さり、額、頬へとくちびるを押し当てていく。
「かわいい誘い方。どこでそんなの覚えてくんの」
「さぁ? 君しか知らないし、君が好きそうなことを片っ端からやってるだけだよ」
素直に甘えられるの、好きでしょ? 壮五が尋ねると、環は「まぁな」と笑った。
――環のファンは勢いがすごかった。間奏のダンス中、偶然にも視界に飛び込んできたうちわの文字を思い出す。
「環くん、抱いて」
きらきらとデコレーションされた文字と同じ言葉で甘える。あれを見て、今夜は絶対に抱いてもらおうと決めた。
上に乗って抱き着いても、彼は重いなんて言わない。もっと食ったほうがいいとか、また痩せたんじゃないかと、心配ばかりしてくる。
「今日、すげえ甘えるじゃん。嬉しい、もっとこっちきて」
ライブ中、突然抱き着いてきた壮五に、環は驚いていた。一緒に客席を見て示し合わせてからファンサービスをすることはあっても、壮五が一方的に他のメンバーを巻き込んだファンサービスをするのは珍しいから。
「だって僕たちは超超超仲良しなわけだし。本当に仲がいいんだって、確かめたくて」
「あー、あのボードな」
驚いた環を視線で誘導した先は『MEZZO"は超超超仲良し』という自作ボードを抱えたファンだ。あのボードへのファンサービスだよと、視線だけで環に伝えると、環が壮五を抱き締め返してのファンサービスになり、黄色い声が上がったのを思い出す。
せっかく着たばかりの寝間着を脱がせにかかる。環の下着は今夜も王様プリン柄だ。
環が十八歳になり、夜間の番組出演が可能になった途端、こうだ。少し前に話題になった『抱かれたい男ランキング』では、一位に四葉環の名前がある。それも、ラビッターの反応の多さに繋がっているのだろう。
今、見ている投稿は、環のアカウントではなく、環が表紙を飾ることを知らせる雑誌の公式アカウントの、数日前の投稿だ。表紙初披露ということもあって、投稿から日にちが経過しているにもかかわらず、壮五がこうして眺めているあいだにも反応数がどんどん増えていく。このアカウントは全ての投稿において返信欄を閉じる方針でよかった。でも、投稿の引用先を見れば、返信欄にしたためたかったであろう言葉が並んでいるはずだ。見ようとしなければ視界に入らないぶん、返信欄以上に本音の出た言葉たちが。
〝環って彼女いるのかな〟……いないよ。
〝環ってキスシーンまだだったよね、今からでも女優になれないかな〟……なに言ってるんだ? 俳優の仕事はそんな簡単じゃないのに。
〝今度のライブ、アリーナ前方だしこのうちわ持ってく!〟……現地での特定に繋がるような写真の投稿は控えたほうがいいと思うよ。
〝ランキング一位になるくらい色っぽくなったってことは、大人になっちゃったのかな〟……まぁ、そうだね。――心のなかで、ひどく冷めた目でそれらの言葉にひとつひとつ言い返す。
『抱かれたい男ランキング』で一位になってから初めて飾る表紙。雑誌の傾向もあり、環は上裸を惜しげもなく見せ、ジーンズのウエスト部分に親指を引っ掛け、気怠そうな顔でこちらを見ている。わずかに見える下着のウエストゴムは黒色だ。
なんだかおかしくなって、壮五はスマートフォンを伏せ、ベッドへと向かう。
今日のライブも――
「もう寝る?」
先にベッドで待ってくれていた環の隣に潜り込み、体を擦り寄せる。
「まさか。今日の環くん、すごく格好よかったし、ライブのどきどきもまだ残ってて寝付けないし」
初めからそのつもりで、お風呂もあとに入らせてもらったんだから。環に覆い被さり、額、頬へとくちびるを押し当てていく。
「かわいい誘い方。どこでそんなの覚えてくんの」
「さぁ? 君しか知らないし、君が好きそうなことを片っ端からやってるだけだよ」
素直に甘えられるの、好きでしょ? 壮五が尋ねると、環は「まぁな」と笑った。
――環のファンは勢いがすごかった。間奏のダンス中、偶然にも視界に飛び込んできたうちわの文字を思い出す。
「環くん、抱いて」
きらきらとデコレーションされた文字と同じ言葉で甘える。あれを見て、今夜は絶対に抱いてもらおうと決めた。
上に乗って抱き着いても、彼は重いなんて言わない。もっと食ったほうがいいとか、また痩せたんじゃないかと、心配ばかりしてくる。
「今日、すげえ甘えるじゃん。嬉しい、もっとこっちきて」
ライブ中、突然抱き着いてきた壮五に、環は驚いていた。一緒に客席を見て示し合わせてからファンサービスをすることはあっても、壮五が一方的に他のメンバーを巻き込んだファンサービスをするのは珍しいから。
「だって僕たちは超超超仲良しなわけだし。本当に仲がいいんだって、確かめたくて」
「あー、あのボードな」
驚いた環を視線で誘導した先は『MEZZO"は超超超仲良し』という自作ボードを抱えたファンだ。あのボードへのファンサービスだよと、視線だけで環に伝えると、環が壮五を抱き締め返してのファンサービスになり、黄色い声が上がったのを思い出す。
せっかく着たばかりの寝間着を脱がせにかかる。環の下着は今夜も王様プリン柄だ。