思考整理2022

 この記事は、環壮webオンリーを思い出しながら、開催までの自分の思考を振り返ったものです。
 どういうことを考えながらいろんなことを決めていったのかということを書いています。

企画を練る

 7月24日は新刊カード及び赤ブー投票券によるカップリングオンリーの日だった。ものすごく楽しかった。
 多くの人が「次は来年3月かな」と言っている。わたしもそうだ。
 来年3月、つまり8ヵ月くらい先。結構遠い。現地開催の同人イベントが賑わっていた頃、自分が次回参加するイベントといえばだいたい3〜4ヵ月先だった。

 数日後、Twitterのタイムラインで「冬にイベントがあれば」や「webオンリーとかあればよかった」というのを複数見かけた。わかる、わたしなら12月くらいに開催されたい。
 現地開催イベントの参加数が増えつつあるとはいえ、現地開催イベントに行くのが困難な層はいる。オンラインイベントの需要が突然ゼロになるとは思えない。オンラインイベントと現地開催イベントは「共存を目指しつつも、どちらかに偏る人が一定数存在する。比重はジャンルによる」といったところか。趣味である以上、作品づくりはスキマ時間にやるからだ。

 アニメ3期2クール目が2022年放送予定で今のところ(7月下旬時点)具体的なお知らせがないということは、きっと、秋アニメなのだろう。アニメが放送されてすぐに開催日を迎えるより、アニメ放送に体が慣れた頃がいい。
 それに、いつ配信されるかはわからないがアプリの6部も配信が始まるかもしれない。5部のラストでブラホワに言及していたから、今年中に6部が始まってブラホワを年末にぶつけてくるとか。すごく、ありそう。
 12月。きっと、アプリでのストーリー配信もアニメ放送もあって、アイドリッシュセブンが盛り上がっている頃だ。

 この時点で自分が今年発行した環壮本は4種、8月にもう1種発行するから計5種。もう1種くらいつくっておきたい。12月に発行したくなってきた。来年3月まであくと中弛みしそうだ。趣味の同人とはいえ、自分は原稿の感覚が鈍るとどんどん書くのが遅くなるタイプだから。
 7月の次が来年3月では遠いと思っている人が他にも複数いるなら、webオンリーをするのもありかもしれない。思いつかなければやるつもりもなかったけれど、思いついた以上、「誰かやってくれないかな」とは思わない。自分が望むものは自分でやるしかないだろう。
 pictSQUAREは1SPからでもできるし、わたししかやらないとわかれば1SPに縮小するなり、イベントを非公開にするなり、対処方法はある。とりあえず内容や時期を考えてみよう。

告知開始前

スケジュールの確保

 通勤の合間を使ってpictSQUAREでここ数ヵ月の間に追加された機能を確認し、企画を考えた。
 まず、イメージソングは外せない。他にもアンケート系のものがほしくなり衣装アンケートを実施することにした。マネージャー歴が長くても短くてもブランクがあっても通じる話題だ。企画に絡めてカウントダウンイラストを依頼する案も浮かんだ。詳細をもっと早く決めたい。

 考えることが一気に増えた。通勤の合間にファミリーマートのイートインコーナーでコーヒーを飲みながら考える習慣ができていく。ここくらいしか考えごとにだけ割ける時間がない。
 イメージソングはフォームをつくってぎりぎりまで受付すればいい。Spotifyのアカウントはイメージソング募集締切までにつくろう。
 カウントダウン用のイラストはサークル参加者募集を締め切ってから依頼するのでは慌ただしい。それに、サークル参加かどうかを問わないものだと明確に伝わるようにしたいから、サークル参加募集前に打診しておこう。この手の依頼はTwitterやpixivではなくメールで依頼文を送信できる相手でなければ。Twitterのダイレクトメッセージやpixivのメッセージを使うべきではない。そのレベルの依頼だ。

 サークル参加募集期間は短過ぎても長過ぎてもいけない。
 pictSQUAREは簡単にスペースを拡大できるとはいえ、自分の性格を考えると、使いやすい24スペースエリアか50スペースエリアごとの拡大になるだろう。
 拡大するしないを見誤ったためになにも配置されていないブースが大量にあるエリアができてはいけない。そのエリアに行きづらくなるし、参加者のモチベーション低下にも繋がる。
 ほどよい募集期間で、締切前に満了となる場合でもその誤差は10日以内が望ましい。極端に早過ぎる早期満了は「申し込みそびれた」層の不満に繋がるし、イベントに関するさまざまな告知も、大きな空白期間ができてしまう。かといって、イベント直前まで募集していては、配置作業時期が短縮されるからよくない。
 じっくり検討して申し込めるように。もし、秋アニメとして10月からアニメ3期2クール目が始まっていたら。本当に年末にブラホワをぶつけるために7周年を迎えたくらいから6部を配信し始めるとしたら。――12月、アイドリッシュセブンは盛り上がっているだろうが、環壮の人がどれくらい盛り上がっているかは未知数だ。
 仮に、8月初めに告知&即募集開始としても、募集期間を3ヵ月間とすれば、10月末まで募集できる計算になる。12月のどこかでイベント開催なら配置作業やサークルリスト作成の時間もたっぷりとれるだろう。遅くても、8月半ば〜11月半ばを募集期間としたい。12月のいつイベントをするかはわからないが、たぶん、3ヵ月あればいい。
 しかし、そもそものイベント開催日が「2022年12月」としかわからない。わからないじゃなくて、具体的な日付を決める踏ん切りがつかない。
 日付検討中または日程アンケートを取ることにして先にイベント開催告知をするにしても、イベント名が決まっていない。イベント名だけでも先に決めなければ、Twitterアカウントが作成できない。
 いろいろ考えたつもりだったのに、三歩進んで二歩下がってしまった。

イベント名

 環壮でのwebオンリー経験は2回ある。しかし、主催がまったく同じでない以上、同じ名前は使えない。当時の関係者・参加者全員に対して失礼にあたるからだ。
 それに、ナンバリングしやすそうなタイトルはよくも悪くも勝手に「次回」を思わせるところが怖い。わたしがやろうと思いつかない限り、わたしが次回をやることはないから、そういう想定をさせるような文字列は避けたい。
「誰かやってくれないかな」なんて指をくわえて待つつもりは毛頭ないけれど、どなたかが開催されるなら遠くから応援したい。そういうスタンスだ。
 三歩進んで二歩下がったまま、8月を迎えた。

 8月、通勤で利用する駅で、3年後に大阪で開催される日本国際博覧会のポスターがやけに目につくようになった。半月前に名前が決まったから掲示数が増えたのだろう。なんともいえない顔だ。向こう3年、この顔をたくさん見るのか。
 ロゴに書かれた「OSAKA, KANSAI, JAPAN EXPO 2025」の文字を改めて目にする。西暦を使うのはいいかもしれない。

 西暦を最後に持ってくるとして、その手前の言葉はなににしよう。ここで決める文字列がTwitterのアカウント名になるし、問い合わせ先のメールアドレスにもなる。
 企業主催カップリングオンリーのようなセンスはない。だって、二人の名前の一部を使って既存のものに似ていない新しい言葉って難しい。作文は好きだけれど、言葉遊びは苦手だ。
 西暦をつけてもなんとなく大丈夫そうな英語表記にしよう。カップリング名をわかりやすく入れたい。イベント名を聞いてなんのカップリングかが誰にもわからないのはよくない。せめて、環壮が好きな人には環壮だとわからなければ。
 日本国際博覧会のポスターが脳裏を過った。EXPOみたいな感じのがいい。でも、EXPOはそれはもう規模の大きな博覧会を表す単語の略だし、なにより、公共性が高過ぎてだめだ。
 イベント名が決まらないとメールもTwitterもアカウントがつくれない。決まったあとにそのアカウント名が取得できなかったら大変だ。

 早く決めなければという焦りから、Google検索履歴が英単語で埋まる。それらしい単語を使った映画や漫画のタイトルも一 緒に眺めては、違うなと感じて、また別の単語を入れるの繰り返し。
 これを書いている今はイベントも終わった12月なのできっかけは思い出せないが、この頃、ふと、『バクマン。』を思い出した。壮五の声の人が、昔、主人公の片方の声を演じた作品だ。推しと同じ声帯の持ち主から「原稿」「締切」という単語が聞けるから、自分の原稿に向かう気持ちがのんびりし過ぎているなと感じた時に見ている。最近はその余裕すらなくて見れていない。
 その『バクマン。』で亜城木夢叶が出した作品に『PCP -完全犯罪党-』というものがある。Perfect Crime Partyの略でPCPと言っていた。そのことを思い返しつつ、カップリングは宗教というが、党ともいえるなと、本来の思考に結びつける糸口を強引に探す。
 そうか、パーティー。12月、世間はクリスマスに忘年会と、(実際に開催、参加するかは人それぞれとして)会合シーズンだ。パーティーがいいんじゃないか。アニメ3期1クール目1話でもIDOLiSH7たちはあけぼのテレビのパーティーに参加していた。「アイドル」と「パーティー」は縁がある。英語表記にすれば西暦との相性もよさそうだ。
『TAMASO-PARTY2022』イベント名そのものを略して発音することは叶わない文字列だが、声に出したい日本語ではないから構わない。普通にダサいのも個人が趣味でやっている感がわかっていいんじゃないか。
 なんだか楽しそうな、浮かれた名前ができた。名前を見れば環壮の人には環壮だとわかるうえ、普段の検索に使う漢字表記ではないから検索の邪魔にならないところもいい。
 嬉しくてツイート用のアイキャッチ画像に取り掛かった。日程部分はまだ空白だ。

アカウント取得

 Gmailアカウント、Twitterアカウント、pictSQUAREアカウントをつくる。Spotifyアカウントはもう少し先でいい。Twitterアカウントは非公開設定にしておいた。
 pictSQUAREのアカウントも別で作成した。pictSQUAREの数少ない主催機能として、「主催はサークル参加無料、追加でもう1スペース無料」というのがある。わざわざ別アカウントをつくらなくてもイベント主催として本部スペースを申し込みつつサークルとしても申し込めるというものだ。しかし、他のサークル参加者がpictSQUAREに参加費(システム利用料)を支払うのにサークル参加者としての自分がpictSQUAREに1円も支払わないというのは、わたしの信念に反する。
 それに、サークルカットをクリックした時に表示されるプロフィールを分けることはできない。本部のサークルカットで主催個人のプロフィールが見えるのはよくないし、自分のサークルカットから本部としてのプロフィールが表示されるのはいやだ。
 アカウント作成は面倒だが、pictSQUAREの規約上でも別アカウント作成は禁止されていないので、自分の信念を優先する。
 しかし、日程を決めなければイベントページを作成できない。とりあえず大晦日の日付で作成して、概要欄を埋めていく。

日程をやっと決めた

 12月11日は新刊カード及び赤ブー投票券による赤ブーのカップリングオンリーだ。環壮の開催はないけれど、環壮を好きな方が好む他カップリングや他ジャンルのカップリングオンリーがいくつか開催されるようだし、避けたほうがいいかもしれない。ビッグサイトに赴く方もいるだろう。
 12月18日はpictSQUAREでジャンル内劇中劇のwebオンリーがあるから避けよう。それにこの日は赤ブーでスパークが開催される。トプステはないけれど開催規模としてはそこそこ大きい。
 12月25日は千の誕生日翌日、誕生日当日ではないからありかもしれない。ただ、6部配信が始まっていたら年末にストーリーと現実でブラホワをやるだろうから、そのプロモーションが始まっている気がする。それに、アニメ3期2クール目が10月からだとしたら12月18日か12月25日あたりに最終回を迎える可能性も考えられる。または、アニメ1期の時のようにそこでいったん区切って、翌月に最終回として2話連続放送するとか。なにもわからないけれど、とにかく、25日は避けておこう。クリスマス時期は忙しい人が多い。冬コミ直前でもあるし。
 では、12月4日はどうか。いや、この時点(8月6日)で開催日まで4ヶ月を切ってしまった。8月6日土曜日……数日なら誤差といえなくもないが、土日の回数が減るというのは大きい。印刷所に入稿する場合は締切が1週間変わる。1週間の差はきつ過ぎる。
 いっそのこと土曜開催にしてはどうか。12月10日とか。……だめだ、赤ブーイベントが土日2日間で開催するたびに土曜だった側のジャンルの人たちが「日曜がよかった」と言っているのを何度も見た記憶がある。土曜開催はやめておこう。やはり日曜がいい。

 この夜、もくりでおしゃべりした相手に日程部分のみ相談にのってもらう。相槌を打ってもらっているうちに開催日が決まった。
 イベント名も開催日も決まったことで、イラストの打診も、その返答を待ちつつイベント告知もできる。
 ここまで決まったら、イベント開催告知もしていいだろう。明日にでも打診メールを送信して、速やかに告知の用意に取りかからなければ。
 三歩進んで二歩下がっていたところから、一気に進んだ。

 そして、いくつかの企画も告知開始前に決めた。

衣装アンケート

 およそ7年分の衣装の中からどれかになる。しかし、それは集計しないとわからない。集計後、共通ロゴ提供と合わせて速やかに連絡する。――カウントダウンイラストについて、肝心の依頼内容だけふんわりとしたまま、その他の項目はきっちりと書いて打診した。
 企画である以上、ここは馴れ合うような言葉は用いず、あくまでも事務的に進める。やりとりは事務的におこなうが、集計後、もしどなたかの思い入れが強い衣装があればその方にその衣装を依頼する方式にしよう(これは最終的に全種そのとおりになった)。
 どなたか一人にでも断られたら、その分、カウントダウンの日数を減らす。だって、この人がだめだったから別の人にというのは失礼だ。はらはらしていたが、お三方とも快く引き受けてくださった。

 わたしは文章を書いて本をつくったりウェブで公開したりの人間だから、カウントダウンの時期になったら、きっと「絵師媚び」などと揶揄されるのだろう。文章を書く人間の宿命といっていい。第三者としてそういうのをたくさん見てきた。容易に想像がつく、すべて哀れな嫉妬と羨望だ。自分の望むようにしたいなら、自分で企画すればよい。「個人誌でやれ」とも言われるかもしれないが、webオンリーといえど、趣味でやることだ。わたしはわたしの好きなように企画するに決まっている。
 アンケートフォームもつくろう。7年分の衣装リストについては、日頃からアプリ内のカード情報をスプレッドシートで管理しているからすぐに用意できる。スキルレベルをMAXにしたものや、図鑑埋めがまだのものを把握したくてつくったもので、カードごとの実装日もその時に全種調べてある。まさかこういうところで役に立つとは。

イメージソング

 過去に二度開催された環壮webオンリーでも、イメージソングの企画はあった。外せない企画だと最初に浮かんだものの、同じような曲ばかりになりはしないかと、少しだけ、迷いが生じる。
 しかし、この世界では、日々、たくさんの楽曲が発表されている。企画に興味を抱く人だって、これまでとまったく同じではない。過去のwebオンリーで公開されたものと似てしまったら、それはそれでいいじゃないか。
 投稿幅を広げるため、アイドリッシュセブン関連楽曲でも構わないということにしておく。MEZZO”ばかりになったとしても、それはそれでおもしろい。

告知

 準備は整ったと判断し、告知アカウントで最初のツイートをする。宣伝は苦手だが、自分のアカウントでRTしなければ見つけてもらえない。緊張しながらRTした。8月7日、カウントダウンイラストの打診メールを送信した日の夜だ。作業スピードを一気に加速させたのは、3ヵ月間のサークル募集期間を確保するため。
 じわじわとRTされていくのがわかったが、RT先を見るツールは使わない。自分のアカウントのタイムラインでだけ、様子を見た。知らない世界を覗くのは怖いから。

 告知を始めてからも、企画を新たに考えたり修正したりがあった。

ワンドロ・ワンライ企画

 これは、当初、企画の中にはなかった。告知できる新情報が特にない期間を埋められて、なおかつ、webオンリーへの参加推進に繋げられそうなものとして、イベント開催告知後に決めたものだ。webオンリー関係なく存在するワンドロ・ワンライ企画が環壮では現時点で稼働していないことは何度も確認した。
 わたしがやるのはwebオンリーへの参加を推進する施策であることから、すべてのお題はサークル募集終了前に出しておきたい。始まる前から最終回の時期を決めるという企画だった。
 開催は全10回にしよう。MEZZO”のアルバム『Intermezzo』の曲数と同じがいい。お題も、それぞれの楽曲からイメージできる言葉か、楽曲内に出てきた単語から選んだらおもしろそうだ。途中でお題の法則に気付く人がいるかもしれないが、それでもいいと思った。お題はサプライズではないのだから。
 最終回のお題は『永遠』だ。今年の『Forever Note』リリース記念日は月曜日。直前の土曜日に最終回を迎えるよう企画をスタートさせたかったが、そのためには思いついたその週の土曜日に第1回を開催しなければならない。この頃ちょうどパソコンの調子が悪く、スマートフォンで強引に作業する状況下にあったため、最終回を10月末に合わせることは断念した。

キーワードラリー

 これは初め、ペーパーラリー企画として進めていた。他ジャンルでもよく開催されているものだったからだ。
 しかし、50スペースエリアから24スペースエリア複数にしたことで、果たしてこれでよいのかと迷いが生じる。書きたいと言ってくださってる方々がいる以上は強行突破すべきかもしれないが、他のエリアも覗こう・知らないサークルも見てみようと思えるきっかけをつくるほうが大切なんじゃないか。
 話は前後するが、サークル募集開始時点で、設問項目に「キーワード掲示の協力をお願いした場合に協力可能か」というのを設けていた。企画の詳細をほぼかためてからイベント開催告知に踏み切ったものの、「保険」は必要だったからだ。この時点で申し込みされているすべてのサークルが「可能」と入力してくださっていた。
 もちろん、「可能」と答えていても当日になって事情が変わるということはあり得る。作品づくりで忙しくておしながき画像をつくる時間がないというサークルも出てくるかもしれない。それでも、掲示してもらえるなら、キーワードラリーをやったほうがいいんじゃないか。作品サンプルはつくれてもTwitterでお知らせするときに文章を考えるのが苦手という人が、わたし以外にもいるかもしれない。「キーワードラリーに参加してます」とひとこと添えるだけでもお知らせになるのって、PRのハードルを下げられる要素になり得ると思う。
 いや、まだ判断をくだすには早い。この時点ですべてのサークルが「キーワード掲示可能」と言ってくれていても、このあとに申し込みしてきてくれるサークルすべてが「否」だったら? ――この時点でキーワードラリーに踏み切ることはせず、サークル募集終了ぎりぎりまで様子(この設問に対する回答の比率)を見ることにした。この間にキーワードラリーの案を練る。
 最終的に100%ではなかったものの、99%近くのサークルが「キーワード掲示可能」と答えてくれていた。

 キーワードラリーへの方針転換にともない、それまでのペーパーラリーを白紙にし、サークル募集終了間際まで様子を見ている間に練っていたキーワードラリー案をリリースした。

pictSQUAREのエリア

 9月後半、予想よりやや早い申し込みペースに、想定していた最終スペース数を上回る可能性が生じた。
 当初は50スペースエリアをひとつだけ使う予定だった。エリア移動をせずに済むからだ。
 しかし、このサイズのエリアを複数使うとなると、アバターを歩かせる距離の長さがものすごくストレスになる。単純にエリアの数だけ負担が倍増するという話ではなく、「エリア移動のたびに最下部中央の入口からスタートする」ことで、視覚として、「奥のほうに配置されてるところにいくのが大変だな」という感情を何度も呼び起こしてしまう。
 pictSQUAREの利用者はスマートフォンが多いと聞く。ひとつのエリアに収めたいためだけに100スペースエリアを使う気はない。マップ機能を使っても現在地がわかりづらくなる(そもそもマップ機能をこまめに使いながらアバターを動かすのは大変だ)し、入口から奥のほうのスペースが更に遠くなるなんてだめだろう。それなら、24スペースエリアを複数使うほうがましだと思った。
 デモ会場で何度も入口から『あ1』までの移動時間をテストしてみる。操作に慣れた自分が最短ルートで移動すると、24スペースエリアなら入口から『あ1』まで10秒弱。pictSQUAREは今回が初めてという人、久しぶりという人が多そうだから、もう少しかかる層が大多数かもしれない。それでも、これくらいの秒数なら、スマートフォンでも動かしやすいだろう。そう判断し、24スペースエリアを複数使うことにした。

 ワンドロ・ワンライ企画を進め、使用エリアについて考えているさなかに、アイドリッシュセブンの6部配信と3期2クール目の放送が始まった。

満了

 ありがたいことに、募集スペースのすべてに申し込みがあった。サークル募集終了まで数日残っていたが、このタイミングで拡大をすると空白スペースだらけのエリアができてしまうと判断し、拡大はせず早期満了を選択した。5スペースエリアや10スペースエリアでの拡大をしなかったのは、24スペースエリアふたつとのバランスが悪くなるからだ。小さいほうのエリアに配置されたサークルが「なぜこちらなのか」と不信感を抱いてしまう。サークルを配置するエリアはすべて同じ大きさで統一しておきたいというわたしのわがままだ。同じ大きさであれば、会場背景も同じものが使えるという利点がある。
 最終、本部のみのエリアを設けて追加で1スペースだけ募集したのは「本部の隣に配置されるサークルが居心地の悪さを感じそう」と思ったから。
 ちなみに、50スペースエリアをひとつ使うという最初の構想では、『あ1』に本部を設置・残りの『あ』列は装飾で賑やかし・『い』列以降にサークルを配置というものだった。
 空白スペースだらけのエリアができないようにと祈っていたのが、環壮を好きな人たちのおかげで無事に叶った。

配置作業

 これはキーワードラリーを基準にした。
 大多数のサークルが「キーワード掲示可能」としてくれていても、当日になって掲示が間に合わない可能性はある。それに、成人向け作品を閲覧できない人でもキーワードを完成させられるようにしておかなければならない。
 サークル参加募集時、以下の設問は配置作業のために設けておいたものだ。
①作品傾向(絵か小説か)
②R-18有無(予定含む)
③女体化有無(予定含む)
 凡例を添えてコピー・アンド・ペーストでとお願いしていたのは、スプレッドシートの関数を使って入力内容のチェックをするためだったのだが、残念ながらコピー・アンド・ペーストではなく独創的な入力をされている方々が(僅かに)いた。関数を使ってデータチェックをするためだと強調しておけばよかったかもしれないが、たぶん、強調したところで独創的な入力はゼロにはならなかっただろう。入力内容を視認しつつデータチェック用の文字列へと手作業で置き換えた。
 これはpictSQUAREの設問設定が自由入力のテキストエリアしか選べない(ラジオボタンやセレクトボックスがない)ことが原因だ。他ジャンルでの主催経験者たちからもこの部分の改善を望む声は上がっていたと記憶しているが、変わる様子はなさそうだ。

 データチェック用の文字列へと整えてしまえば、配置作業そのものはすぐに終わる。キーワードラリーに支障をきたさないよう、①②の組み合わせでできる作品傾向パターンをできるだけ均等に割り振ればよい。③が好きな方は他の方の③も近くにあったほうがイベント当日も探しやすいだろうと判断し、③については割り振らずにひとつのエリアに配置した。

 配置後のデータをもとに、キーワードを割り振る。ここではスプレッドシートのフィルタ機能を使って文字を割り振った。全年齢のみでもキーワードを完成させられるようにするためのフィルタリングだ。
 ひとつのエリアに24サークルということから、キーワードは7文字か8文字にしようと決め、アイドリッシュセブンのアプリを開いてそれらしい言葉を探す。ラビチャやラビテレにしか出てこない言葉は避けよう。そのカードを持っていない人に伝わらないのは楽しくない。その言葉を聞いただけで「あっ」と本編のことを思い出せるものがいい。
 最終的に「きみをみてるよ」「こころのありか」「きずなとじゆう」にした。各エリアの名称も、その言葉が出てきた時のイメージで決めた。『君をみてるよ』はそのあとに続く2部8章4話『星空のモノローグ』から〝星〟、『こころのありか』はその次の3部17章2話『涙のシミ』から〝涙〟、『絆と自由』はシンプルに二人の〝夢〟に繋がるものだからそうした。

会場背景

 加工や色替えをOKとしている素材のみをお借りした。マップエディタは過去の環壮webオンリーの頃から使っているフリーソフトだ。
 しかし、壊滅的にセンスがなく、会場のアイデアも浮かばない。サークルは配布されている店舗外観を使う人が多いだろう。わたしもそうだ。配布されている店舗外観は、屋外に馴染むデザインのものが圧倒的に多い。pictSQUAREのデフォルト背景に合わせてつくればおのずとそうなる。
 屋外で気負わないパーティーらしいものといわれても、ガーデンパーティーしか浮かばない。空いたエリアをガーデンパーティーっぽく埋めるって難しい。夜には暗い背景にしたいと思っているのに、どうすれば。
 ああでもないこうでもないと試行錯誤しているタイミングで、『WONDER LiGHT』がリリースされた。イメージソングの募集にもその曲が複数投稿されている。なるほど、遊園地。昼と夜で雰囲気を変えられる。
 空いたエリアを埋めるものさえ決まれば、作業はすぐに終わった。

PRシート

 webオンリー主催が用意するであろう各種ツールの中でもっとも楽しくつくれる(個人的主観)だ。
 コメント欄は広めにつくった。宣伝が苦手な人でも「キーワードラリーに参加してます」の言葉でコメント欄を少しでも埋められるよう、キーワードラリーについての選択肢コーナーは敢えてつくらない。
 ここで、企画当初から考えていたもののリリースタイミングを失ったままにしていた『○○に当てはまるのは二人のうちどちらだと思うか』の質問コーナーを盛り込むことにした。エリアのここに配置されているという目印をつけてもらう部分を設けるより、PRシートでも遊べるものがあったほうが、見る側も楽しめるのではと思った。
 アンケートタイプのものは、募っている間の緊張感と、回答する時にその対象物へと想いを馳せるところが盛り上がりがちで、回答そのものを公開する時はよほどのインパクトがないと流し見で終わってしまう。衣装アンケートは上位3種のイラストをそれぞれ別の方に依頼し、イメージソングは実際のプレイリストを公開することで、公開時に楽しめる要素になり得る。しかし、この手の些細なアンケートは公開時に盛り上げるのが難しい。……であれば、そもそものアンケート方法から変えるしかない。
 準備期間がもっとあれば他の案も出せたのだろうが、全体を通しても4ヵ月ほどの準備期間ではここが落としどころだった。

イベント直前

 12月2日に配信された6部本編を読み終えたあと、アイドリッシュセブン公式Twitterでブラホワに関する怒涛のお知らせが投稿された。その中のひとつに、12月6日からローソンでうちわを印刷できるというものもある。
 仕事が慌ただしく、印刷用のサークルリスト作成に遅れが生じていたものの、なんとしても週末までに仕上げなければとエンジンがかかった。
 ファミリーマート・ローソン・ポプラで使えるネットワークプリントは印刷期間を長めに設定できるが、セブンイレブンのネットプリントは1週間しかない。イベント前に印刷期間が終わるなんてだめだ。イベント翌日までは印刷できるようにしておきたい。
 できれば同時に公開したかったが、セブンイレブン用のプリント番号を基準にすることで、ファミリーマート・ローソン・ポプラが近所にある層の印刷機会を損失させるわけにはいかない。
 ネットワークプリント・ネットプリントを介さず、自身のスマートフォン等にPDFを保存したものをコンビニプリントすることはいつでもできる(しかもこちらのほうがプリント代金が安い)からと、早々に公開へと踏みきった。

 アイコンデコッターはシンプルなものにしよう。環壮以外のフォロワーもいる中でごてごてしたものを装飾するのはわたしだって気が引ける。
 完成はしたが、告知ツイートをする時間がない。なぜならこの日はアニメアイドリッシュセブンThirdBEAT!23話放送日で、放送時間まであと1時間を切っていたからだ。アイコンデコッターのリリースは後日にしようと諦めた。

 webオンリーの1週間前のこの日、アニメを見た環壮の人たちの「環壮が好き」という祈りにも似た感情の強さに、目眩がした。
 何人かのフォロイーが「来週はwebオンリーだ」と言っている。盛り上がっている頃かもしれないという甘い予想から12月開催と決めてここまできたが、あまりにもタイミングがよ過ぎて、偶然の恐ろしさを知った。

告知や説明、問い合わせ先

 途中、更新のしづらさから告知サイトを別のところに移動させてしまったが、移動させてもなお、告知サイトの情報量は多いほうだという自覚はある。
 書いたものをすべて読んでくれる人は1割にも満たないだろう。読まずに疑問をツイートして誰かが教えてくれるのを待つ層だっているかもしれない。アイドリッシュセブン公式Twitterに対しての反応でそういうのをほぼ毎回見ているから、全員がすべてを読んで問い合わせルートも守ってくれるとは……残念ながら思っていなかったし、実際、そうだった。

 読まずに疑問をツイートして誰かが教えてくれるのを待つ層にまで読んでもらうのは、どう頑張っても無理だ。もっと見やすいサイトにしろとかそもそもTwitterだけで完結すればいいとか、やりようはあるのかもしれない。でも、流動的なTwitterで完結させるなんて恐ろしくてできない。pictSQUAREのイベントページだけを使うにも、スマートフォンから見たお知らせページへのリンクはページ最下部だし、イベントトップページにすべてを書くとパコソンから見た時に申込画面へのリンクが遠い遠い最下部になる。
 なにかを説明するには、どこかを犠牲にしなければならない。サイトにすべてを書き、問い合わせルートを何度か周知するのが、わたしなりの「負担が少ないやり方」だった。生活のすべてをwebオンリーの対応に割けるわけがない。

 匿名ツールは絶対に設置しないと決めていた。過去、さまざまなジャンルのwebオンリーで、匿名ツールの心ない言葉によって主催が傷付けられているのをたくさん見てきたから。両手では数えられないくらい見てきた。
 RT先も引用RTも無視する。問い合わせルートに沿っていないものは、一切、イベント及び主催への言葉ではないひとりごととする。なぜなら、イベント及び主催への問い合わせ方法をきちんと提示してあるからだ。そこに沿わない以上、それは問い合わせでもなければこちらに伝えたい言葉でもない。それくらい極端に切り捨てられないようでは、最後まで元気なまま企画をやりきるのは難しい。少しでも「まぁ、これくらいなら」を許せば、確実に疲弊してしまう。

大変だったか

 イベント当日は本部としてもわたし個人のサークルとしても、書き込みボードは設置しなかった。イベント中にpictSQUAREの操作に困ったことがあって書き込みボードを使われても、すぐに気付けない恐れがあったからだ。
 それでも、イベント中やイベント後に、別のルートからメッセージを複数いただいた。「大変だったかと思いますが」という言葉を含むものも多い。
 大変だったかどうかはわからない。たぶん、大変だったんだと思う。Twitterでは「仕事が11月から師走状態」なんてツイートもしたけれど、8月も9月も10月も仕事はばたばたしていた。人手不足のせいで毎月師走状態だ。大変だったとは思うけれど、仕事がばたばたしていたことを差し引くと、そうでもなかったかも……? という気もする。新刊も出せたし。
 1週間経っても、大変だったかはわからない。無理なものは無理と切り捨て、必要以上に謙らず、前向きな気持ちでいたおかげかもしれない。
 ただ、他のwebオンリー主催の人たちは大変な思いで開催日まで奮闘されてきたに違いないから、間違っても、わたしの所感を他の方に当てはめることはしないでほしい。わたしの感覚が麻痺している可能性もあるわけだし。

 記念撮影のたびに、環壮っていいなと思ったのは本当。

今後

 イベント告知Twitterアカウントでもお知らせしたとおり、なにも考えていない。やるともやらないとも、まったく、わからない。
 構想はあったものの準備期間の短さから断念したものがあるのは事実だけれど、楽しい・やりたいだけでできることじゃないのは、これまで複数回webオンリーを経験して、よくわかっている。
 今回のイベント開催までにあれこれ考えた以上に、数ヵ月間に亘って思考を働かせられるようななにかがあればとは思う。それには、公式の動きや、周囲の雰囲気、自分の余暇などが影響する。だから、今はなにもわからない。

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