2020.05.05発行 成人向 頒布終了
文庫サイズ 118ページ(約52,000文字)
頒布価格 600円 通販価格は異なります
カバー:ロベール110kg(ホワイト)
表紙:色上質最厚口(コスモス)
本文:書籍用紙62kg(クリーム)
恋人になると、いずれは、愛に変わることを望んでしまう。でも、自分の愛は音楽にだけ捧げるものだから、恋人にはなれない。環への恋心を隠し通すと決めていた壮五だが、環から好意を寄せられ、絆されていく。 環が十八歳になる瞬間から始まった二人の恋。しかし、その恋は、環が二十歳の誕生日を迎えた日に、終わりを告げる――ウェブに掲載した『恋の終わり』と、その関連作品を文庫化。
発行にあたって
pixivで公開した《恋の終わり》、そのあとに書いた《瞬きよりも短い一瞬》《加速する恋》(いずれも現在は非公開)……これらは当時から、同じ世界線の環壮のつもりでいました。
2019年8月に《プラチナム・キス》という短編集を発行した際にこれらを収録しなかったのは、いずれこの話だけをまとめた本をつくりたいと考えていたからです。
そう考えている間にゲーム本編4部が完結して〝どうやってこのみっつをまとめるか〟が、いい意味で少し変わったことから、pixiv掲載時にはなかった要素を加えています。
タイトル
終わりという単語はどうしてもマイナスな要素を連想させる。pixivにあるとおり、結末にマイナスの要素はないのに。個人的に〝わかりづらいものはつくらない〟と決めているので、タイトルを別のものにすべきか少し悩みました(し、人に相談もしました)。
ただ、ありがたいことに多くの方に読んでいただけている話が結末だし、大筋はpixivでわかるから、むしろこのタイトルのほうがわかりやすくていい(加筆しているとはいえ本文ページすべてが書き下ろしではないとわかる)と判断しました。
本の見た目
普段はPP加工をつけるので、たまにはPP加工なしのカバーにしたくて、カバー折り返し部分に濃い色がのらないようにということだけ決めていました(オンデマンド印刷なので、折ったところはトナーはげが起きやすい)。
あと、どうしてもあっさりし過ぎてなにかものたりないなと思ったので、英題をつけました。英語が全然できないので、本文の誤字倒しを手伝ってくれた友人に、誤字倒しのついでに案がほしい……というわがままを聞いてもらいました。二案いただいて二案とも素敵だったので、片方をタイトルに重ね、もう片方を表4側に使いました。
解説
「でも、僕にとっての一番は、きみじゃない」
【恋の始まり】-恋の終わり
環は〝一番〟を求めたがるが、自分は〝一番〟をあげられない。だから、恋人にはなれない。
「じゃあ、そーちゃんの一番って、誰?」
たぶん、ここが初稿以降〝ゲーム本編四部完結の影響〟で一番加筆したところ。桜春樹との出会いがなければ、MEZZO”が『Forever Note』をリリースしなければ書けなかった文がたくさんあります。
その言葉に、壮五がたびたび発言していた、まだ準備ができていないという言葉の意味を悟る。てっきり、男の矜持を捨てて同性に抱かれることへの心の準備に時間を要するのだと思っていたのだが、この三ヶ月、壮五は身体の準備をしていたというわけだ。
【動き出す恋】-恋の終わり
この章は完全書き下ろし部分です。そのあとの話で〝初夜に備えてめちゃくちゃ準備しまくっていた壮五。環はそれに動揺してしまい、二人の初夜は失敗〟している旨をさらりと書いていたので、初夜に失敗するまでのくだりを書きました。
腸内洗浄シーンは正直楽しかった……スムーズに抱かれたいがためにめちゃくちゃ頑張る受けという図は恐らく前世から好きです。
「すみません、三月さん。環くんと打ち合わせがあって。次の機会には必ず」
【加速する恋】-恋の終わり
「そっか、まぁ気にすんな。壮五は作曲もあるんだしさ」
このあたりは前後の話と矛盾を生じさせないためにもpixiv掲載時とあまり変えてはならないと、敢えて加筆を少なくしています。ただ、pixiv公開当時は〝作曲をしてみたい〟だったのが、今は〝実際に曲を世に出した〟状態なので、作曲をしているんだという文を加えています。
恋人になれば、愛してほしいと、恋心以上のものを求めるようになる。自分は音楽にだけ愛を捧げると決めたから、誰かに愛をあげられない。二年前の壮五の言葉を、環は一日たりとも忘れたことはない。
【恋の終わり】-恋の終わり
冒頭で加筆した部分のアンサーとなるものを書き加えました。全編通して〝逢坂壮五には敵わない〟という話にしたくて、環くんがひたすら振り回される結果になりました。
「据え膳を食べてほしくて、二人きりになったんだけど」
【恋人たちの夜】-恋の終わり・おまけSS
あとがきにもある通り、普段は本編の後日談をおまけにしがちなのですが、Twitterでアンケートを取って、同棲初日と初夜リベンジのうち後者に軍配があがったので初夜リベンジにしました。
息をするように自慰描写があるのは、本編で環くんだけ自慰描写がなかったなと気付いたからです。
おわりに
これは〝両片想いだった二人が、攻めが追いかけて交際を始め、受けからプロポーズをする話〟ですが、これを書き終えたあとに、環くんから追いかけて追いかけてプロポーズする話も書きたいなと思いました。