プラチナム・キス

概要

2019.05.03発行 成人向 頒布終了

文庫サイズ 450ページ(約202,000文字)
頒布価格 2,000円 通販価格は異なります

カバー:きらびきPL110kg(白)
表紙:色上質最厚口(コスモス)
本文:ライト書籍用紙55kg(クリーム)
加工:カバーにマットPP

 面倒くさい性格をした相方に溜息をつきつつも、好きでいることをやめられない。どんどん成長する相方に、毎日、どきどきしてしまう。互いに抑えていた気持ちが重なった夜は、これまで過ごしたどんな夜よりも、やさしい夜だった。――初々しいものから、大人向けのものまで、珠玉の四葉環×逢坂壮五作品の数々。ウェブで公開した作品への加筆修正に加え、複数の書き下ろし作品を収録した掌編・短編集。

 本書のタイトル案:むむ様(pixiv)
 解説:あけの様(pixiv)

発行にあたって

 小説を読む時は紙をめくりながら読みたいタイプで、以前から、自分が書いたものをできるだけ紙媒体にまとめたいという願望を抱いています。
 あとがきにもある通り、元々は二冊に分けて発行しようと計画し、一冊目を2019年3月、二冊目を同年8月のつもりで、2018年10月頃から加筆修正と書き下ろし作業を始めていました。
 書き下ろしで思いのほかページ数がかさみ、ふと、二冊を合計すれば合計ページ数が400ページを超えるのではないかと気付き……それならば、書き下ろしのページ数を調整して450ページにしてみようと思い立ったのが、この本が厚くなることが決まった瞬間です。それなら、一般書籍にあるようなことをいろいろやってみたい。巻末の解説や、他の方の環壮小説紹介も、この時に決めました。

タイトル

 当初は二冊に分けて発行予定でしたから、タイトルはふたつ用意していました。ですが、一冊にまとめるのであれば、まったく別のタイトルにしたい。そう思っていた矢先にTwitterのタグでつけていただいた『プラチナム・キス』をそのまま使わせていただくことにしました。
 タイトル下の『RE;COLLECTION』は、サークル名『RE;』のコレクションであることと、英単語recollection(思い出・回想録など)をかけています。

本の見た目

 ページ数が多いので、本文用紙はいつもより薄いものを選びました。わたしが書くものは空白行が少なめなので、読むのが結構疲れると思います。だから、せめて、本を持つ手くらいは疲れないようにという考えです。

解説

 環の右手がドアノブにかかるのを見つめ、視線をゆっくりと動かす。壮五の視線を感じ取った環が甘く垂れた瞳をこちらに向けた瞬間、触れてもいないのに静電気が走った気がした。

【プラチナム・キス】-プラチナム・キス

 タイトル作ですが、特段なにか意味を持たせようとしたものではありません。ただ、なんとなく、静謐・夜といった雰囲気が合うのではないかと感じ、メンバーに交際を悟られていない彼らが、寮で視線を絡ませ、ひっそりと一晩過ごす話を書こうと思い立ちました。

 今度は環が混乱する番だ。知っていることを教えてほしいと言ったのは本心だが、過去の性体験を語られるものとばかり思っていた。それがどうして、自分の自慰を手伝うと申し出てくるのだろう。相変わらずギアのないやつだなと思ってしまう。

【責任を取らせていただきます!】-プラチナム・キス

 以前から読んでくださっている方にはご存知の方もおられるかもしれませんが〝一人でしているシーン〟や〝一人でしていることが恋人(または好きな相手)にばれるシーン〟というのが好きです。この話では〝それを手伝う〟展開にしました。

 万理はどう思うだろうか。彼は過去に、音楽に触れていた人物だ。諸事情からデビューに至る前に表舞台を去ったものの、作曲をする男のすぐ隣で、相方として五年間もの年月を過ごしている。アルバムをつくりたい! と言って、それが簡単にできるものではないことは、当然、知っているはずだ。

【過去、現在、未来】-プラチナム・キス

 ずっと、MEZZO”のアルバムがリリースされることを望んでいます。過去の感謝祭やライブでの告知コーナーがくるたび、MEZZO”のアルバムという文字はないかなと胸を高鳴らせ……残念ながら今のところその期待は叶えられていないのですが。でも、きっと、そう遠くない未来に現実のものとなるだろう。そう祈りを込めて書いたものです。

 手本ってそういうことかよ! と理解する。まさか、自分の下半身を人に触られるなんて。初めて与えられる感触に動揺を隠せない。

【おひとりさまレクチャー】-プラチナム・キス

 これも〝ひとりで〟ネタです。先にタイトルが浮かんで、それに合う話を書いたという、いつもとは逆の順序で出来上がった話です。いつもは書きながら、あるいは書き終えてからタイトルを決めているので。

「やっぱり大人だから、そう頻繁に泣くわけにはいかないけどね。……もし、次に泣きたくなるようなことがあったとしたら、それは、僕のつくった曲で、二人で歌えた日がいいな。かなしいことじゃなくて、幸せなことがいい。環くんには、早く泣き止めよって涙を拭ってほしい。今度は、醤油の染みが付いた袖じゃなくて、ハンカチでね」

【世界でいちばんやさしい夜に】-プラチナム・キス

 3部17章2話が公開された一年後にpixivに掲載した作品に加筆したものです。加筆部分はラスト7ページ、その最終ページにこのセリフがあります。
 壮五くん作曲のMEZZO”の新曲『Forever Note』が現実のものとなっても、わたしの中での環壮は〝ここ〟がターニングポイントです。実際のところ、4部でナギと再会できた時にみんなで泣いて、その時に壮五くんも嬉し泣きをしていたのですが……彼が涙を流したのが、かなしいことじゃなくてよかったと思いました。

おわりに

 実際に刷り上がった本を見た時に、感激よりも、ついにやってしまったという気持ちが先に湧きました。厚みがあるので余白がいつも通りで大丈夫だろうかと不安になり、6月頃に1冊から製本してくれるところでプロトタイプをつくったのですが、それよりも本文用紙は薄いはずなのに、圧力を感じました。

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